食行動障害の形での現実回避行動または現実適応障害である. A.発生の準備因子 (1)性格特性 従順,完全主義,依存主義,良心的,小心,臆 病,負けず嫌い,我が強い,自己中心的. (2)強迫性 自己が決定すべき状況の際の対処力の未成熟. (3)現代の社会・文化的背景 スリムな体型が好まれる. B.症状誘発因子 (1)進学・就職・友人などに関する悩み 日常経験する些細な問題に関する悩み. (2)困難な問題に直面すると,適切な解決策の得ら れる前に,不安を即時的に低減できる自分の方 法に固執する. C.症状促進因子 体重が減ると,目的を達成できた喜びの感情による自 己強化,友人や同僚から「よくやせたね」とほめられ注 目される事による他者強化等,スリムな体系を維持しよ うと努力するようになる. D.症状固定化因子 “やせ”が目立ってくると,周囲の人々より次第に病人 として気遺いを受けるようになる.特に母親は早くこの ような病的状態を改善させなければと思い、食事に関し て過度に干渉的となってゆく. これに対して、自分は食べなくても大丈夫だと言い張 り、頑固に摂食を拒否する.そして、食事に干渉する家 族を回避して自分一人で食事をするようになっていく (孤立化傾向).また一方では、家族に対して元気であ ることを印象づけるために、一生懸命勉強したり過度に 運動をしたり、家族や職場の人の反対を押し切って登 校・出勤したりする. 異常な食事制限による飢餓状態が続くと、やがて心理 的・生理的にもその状態に適応した特有の心理・行動が 見られるようになる.空腹感はなくなり少量の食事で満 腹感を感じ、元来もっていた強迫的傾向が強まり、更に 食事を制限し体重を増やさない事に四六時中熱中しだす. この頃から体重が少しでも増えるのを怖がるようになる (肥満恐怖).そして、体重計の針が少しでも増えると 落ち着かなくなり、吐いたり下剤を用いて体重を維持す るといった行動を学習する(体重増加への不安の軽減). また、飢餓に耐えられなくなったりストレスが高まって 衝動的に過食してしまったときは、過食・嘔吐を繰り返 す状態に移行していく. このようにダイエットや心配事に伴う精神生理反応と しての食欲低下に始まった不安は、固定化していく.心 理的・生理的障害が進むにつれて、社会的活動範囲は縮 小し、社会的適応能力を伸ばす機会が失われる.日常直 面する些純なストレスに対して自分の気持ちを押さえ込 むか(自己抑圧)、あるいは、解決できないと分ってい てもその場逃れのやり方に強く固執していく.つまり、 拒食や過食・意図的嘔吐などの異常な食行動が、対処困 難な場面(不安・恐怖レベルの亢進した状態)を回避す るための手段として用いられるようになる。 |