摂食障害

INDEX

T.摂食障害の分類と定義

  1.神経性無食欲症
  2.神経性大食症
  3.特定不能の摂食障害

U.神経性無食欲症の成立期序

V.神経性食欲不振症の治療

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摂食障害   

 思春期に発生する摂食行動に異常を生ずる疾患である.
神経症無食欲症、神経性大食症、特定不能の摂食障害に分類
される。
 ここでは行動医学の面から、摂食障害を治療し,非常に成
功した、添嶋らの研究に基づいて神経性無食欲症について述
べる事にする。

 

T.摂食障害の分類と定義



神経性無食欲症








A. 年齢と身長に対する正常体重の最低限,または
   それ以上を維持することの拒否(例:期待され
   る体重の85%以下の体重が続くような体重減少;
   または成長期間中に期待される体重増加がなく,
   期待される体重の85%以下になる).
B. 体重が不足している場合でも,体重が増えるこ
   と,または肥満することに対する強い恐怖.
C. 自分の体の重さまたは体型を感じる感じ方の障
   害,自己評価に対する体重や体型の過剰な影響,
   または現在の低体重の重大さの否認.
D. 初潮後の女性の場合は,無月経.つまり,月経
   周期が連続して少なくとも3回欠如する(エス
   トロゲンなどのホルモン投与後にのみ月経が起
   きている場合,その女性は無月経とみなされる).

神経性大食症

A. むちゃ喰いのエピソードの繰り返し.むちゃ喰
   いのエピソードは以下の2つによって特徴づけ
   られる.
   (1)他とはっきり区別される時間の間に(例:
      1日の何時でも2時間以内の間),ほと
      んどの人が同じような時間に同じような
      環境で食べる量よりも明らかに多い食物
      を食べること.
   (2)そのエピソードの間は,食べることを制
      御できないという感覚(例:食べるのを
      止めることができない,または何を,ま
      たはどれほど多く食べているかを制御で
      きないという感じ).
B. 体重の増加を防ぐために不適切な代償行動を繰
   り返りす,例えば,自己誘発性嘔吐;下剤,利
   尿剤,浣腸,またはその他の薬剤の誤った使用;
   絶食;または過剰な運動.
C. むちゃ喰いおよび不適切な代償行動はともに,
   平均して,少なくとも3カ月間にわたって週2
   回起こっている.
D. 自己評価は,体型および体重の影響を過剰に受
   けている.
E. 障害は,神経性無食欲症のエピソード期間中に
   のみ起こるものではない.

特定不能の摂食障害

 特定不能の摂食障害のカテゴリーは,どの特定の摂食
障害の基準も満たさない摂食の障害のためのものである.
例をあげると,
1. 女性の場合,定期的に月経があること以外は,神
   経性無食欲症の基準をすべて満たしている.
2. 著しい体重減少にもかかわらず現在の体重が正常
   範囲内にあること以外は,神経性無食欲症の基準
   をすべて満たしている.
3. むちゃ喰いと不適切な代償行為の頻度が週2回未
   満である,またはその持続期間が3カ月未満であ
   るということ以外は,神経性大食症の基準をすべ
   て満たしている.
4. 正常体重の患者が,少量の食事をとった後に不適
   切な代償行動を定期的に用いる
   (例:クッキーを2枚食べた後の自己誘発性嘔吐).
5. 大量の食事を噛んで吐き出すということを繰り返
   すが,呑み込むことはしない.
6. むちゃ喰い障害:むちゃ喰いのエピソードが繰り
   返すが,神経性大食症に特徴的な不適切な代償行
   動の定期的な使用はない.

 

U.神経性無食欲症の成立機序

                  


食行動障害の形での現実回避行動または現実適応障害である.

A.発生の準備因子
  (1)性格特性
     従順,完全主義,依存主義,良心的,小心,臆
     病,負けず嫌い,我が強い,自己中心的.
  (2)強迫性
     自己が決定すべき状況の際の対処力の未成熟.
  (3)現代の社会・文化的背景
     スリムな体型が好まれる.

B.症状誘発因子
  (1)進学・就職・友人などに関する悩み
     日常経験する些細な問題に関する悩み.
  (2)困難な問題に直面すると,適切な解決策の得ら
     れる前に,不安を即時的に低減できる自分の方
     法に固執する.

C.症状促進因子
   体重が減ると,目的を達成できた喜びの感情による自
  己強化,友人や同僚から「よくやせたね」とほめられ注
  目される事による他者強化等,スリムな体系を維持しよ
  うと努力するようになる.

D.症状固定化因子
  “やせ”が目立ってくると,周囲の人々より次第に病人
  として気遺いを受けるようになる.特に母親は早くこの
  ような病的状態を改善させなければと思い、食事に関し
  て過度に干渉的となってゆく.
  これに対して、自分は食べなくても大丈夫だと言い張
  り、頑固に摂食を拒否する.そして、食事に干渉する家
  族を回避して自分一人で食事をするようになっていく
  (孤立化傾向).また一方では、家族に対して元気であ
  ることを印象づけるために、一生懸命勉強したり過度に
  運動をしたり、家族や職場の人の反対を押し切って登
  校・出勤したりする.



   異常な食事制限による飢餓状態が続くと、やがて心理
  的・生理的にもその状態に適応した特有の心理・行動が
  見られるようになる.空腹感はなくなり少量の食事で満
  腹感を感じ、元来もっていた強迫的傾向が強まり、更に
  食事を制限し体重を増やさない事に四六時中熱中しだす.
  この頃から体重が少しでも増えるのを怖がるようになる
  (肥満恐怖).そして、体重計の針が少しでも増えると
  落ち着かなくなり、吐いたり下剤を用いて体重を維持す
  るといった行動を学習する(体重増加への不安の軽減).
  また、飢餓に耐えられなくなったりストレスが高まって
  衝動的に過食してしまったときは、過食・嘔吐を繰り返
  す状態に移行していく.



   このようにダイエットや心配事に伴う精神生理反応と
  しての食欲低下に始まった不安は、固定化していく.心
  理的・生理的障害が進むにつれて、社会的活動範囲は縮
  小し、社会的適応能力を伸ばす機会が失われる.日常直
  面する些純なストレスに対して自分の気持ちを押さえ込
  むか(自己抑圧)、あるいは、解決できないと分ってい
  てもその場逃れのやり方に強く固執していく.つまり、
  拒食や過食・意図的嘔吐などの異常な食行動が、対処困
  難な場面(不安・恐怖レベルの亢進した状態)を回避す
  るための手段として用いられるようになる。

V.神経性食欲不振症の治療

 


基本的には、摂食量・体重の増加を目標として望ましい食行
動を練習する。
その間に出現する回避行動は徹底して遮断する.

 

1.症状を持続・強化する原因となる強化子の除去

  治療当初は,病状を気遣う家族や友人との交渉(面会、
  電話、手紙等)を禁止する.生活を快適にするようなテ
  レビ・ラジオ・読書・散歩等をすべて禁止し、同時に1
  日数時間のベッド上安静時間をもうける.

2.望ましい食行動再形成のための手統き

  不安や摂食に対する心理的抵抗を徐々に解除していくた
  めに、食事量を治療開始とともに1日1000Kcal前後に落
  とし、段階的に増量してゆく.

3.社会的適応行動形成のための手続き

  食行動を再形成するとともに社会的適応行動を形成する.
  たとえば、人の前で1分間スピーチ(自分の1週間毎の
  自己目標とその到達度を発表)や、他者への奉仕活動.

   
   

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